地質教材研究
「足羽三山の地質と笏谷石(しゃくだにいし)について」
福井県教育研究所研究紀要,第69号,111-118貢,1976年3月別冊に加筆補填
はじめに
福井市の中心部近くにある孤立丘陵と言えば、足羽山、兎越山、八幡山である。これらの三つの山を
まとめて、足羽三山(足羽丘陵)という言い方もある。この足羽三山を各学校では、遠足にマラソン
コースに植物採集等に利用している。ところが足羽三山の地質となると、くわしい研究資料がないため
学習に利用している学校は全くないと言っても過言ではない。地質教材の学習では、山を歩き自然の中
で実物に接し、観察体験することが最良の方法といえよう。そのためにも足羽三山の地質の教材化が
必要であると考え、野外調査を行い研究してみた。また、足羽山の笏谷石の層序のくわしい記録はほと
んど残されていない。それで現在採掘している地下90mの3つの縦坑に入り、地下の笏谷石についての
観察をしてみた。今回の野外調査研究で、従来の足羽三山の知識にくらべて、多くの新たな事実を明ら
かにできた。また、いくつかの未解決の問題が残されており、これらについては今後も研究を進めたい。
この研究を進めるに当り、種々の御教示を戴いた福井大学教育学都三浦静教授をはじめ、とくに野外
調査に協力戴いた福井大学教育学部東洋一氏に深く感謝する。また、笏谷石採掘現場の縦坑を調査させ
ていただいた越前石株式会社、宮崎石材商店、若杉石材商店に深く感謝する。