地質教材研究
「足羽三山の地質と笏谷石(しゃくだにいし)について」
吉澤 康暢
福井県教育研究所研究紀要,第69号,111-118貢,1976年3月別冊に加筆補填
福井県教育研究所研究紀要,第69号,111-118貢,1976年3月別冊に加筆補填
断層破砕部(撮影:1999年11月 七ツ尾採掘坑道内)
この場所も七ツ尾旧坑道の最深部で見られるもので、幅30〜40cmで帯状に続く“断層破砕部”である。断層は、“雲”堆積物を切り、下位の“青手”の笏谷石と上位の“黒手”の笏谷石も斜めに切っている。断層面の走向はN60°〜70°Eで、断層面を境に,上盤である“黒手”が北西に落ちた正断層である。この断層の走向は、地質図上に示した“小山谷断層”、“笏谷断層”の方向とも一致しており、足羽山全体の地質構造に関わる重要なものと考えている。 断層破砕部の内部には、はっきりした断層角礫、断層粘土が連続して存在する。このことにより,笏谷凝灰岩層に相当大きな力が加わり,切れてずれ落ちた様子がうかがえる。断層角礫の存在は,断層面を境に岩盤が移動する際,周囲の凝灰岩を角礫状に破砕して巻き込んだものと考えられる。断層粘土は,破砕部の細粒物質が粘土化したもので,岩盤相互に相当強い圧力が加わったためと考えられる。 |
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